古賀文敏ウイメンズクリニックKOGA FUMITOSHI WOMEN’S CLINIC

患者様の声

治療内容

治療内容:

精神科医からのひと言

最後の診察の日、古賀先生から「精神科医としてひと言という感じで何か書いてください」とお声かけ頂きました。
産後8か月で、臨床医とは異なる職に就き、復職しました。それからは育児と仕事に追われ、なかなか先生とのお約束を果たせない日々が続きました。この間、わたしに何ができるか、ずっと考えてきました。
 産休前まで精神科の外来で、不妊治療をはじめとする出産、育児、家庭の問題について患者さんと一緒に取り組んできた私でしたが、実際に母になって、いろいろなものごとに対する考え方が随分変わったことに気づきます。私は、42歳で結婚、43歳になる直前に古賀先生のクリニックで治療を始め、43歳で双子を出産しました。子ども達も2歳になり、最近こども園に通い始めました。

ひと月ほど前、ふとした拍子に、出産する前ワクワクした気持ちで治療に通っていたことを思い出しました。治療は薬剤を使うため副作用もありますし、ホルモンを変化させるため気分の変動もありますが、警固神社の参道からアップルストアに向かってまっすぐに歩いていく通院は、毎回、楽しみでした。
 精神科の治療には、精神療法という患者さんとの対話による治療法があります。精神療法がうまくいき、今、幸せだと思えることが見つかると、過去は明るい過去に書き換えられます。患者さんの中には、不運が重なることで、現状をネガティブな方向にしか考えられなくなっている方がいらっしゃいますが、そういうとき、私生活とは全く関係のない第三者として、「そんなにふうに考えなくても、あなたにはこういういいところがありますよ。」ということを伝えます。患者さんの考え方が前向きでポジティブに変わり始めると、小さな変化が次第に大きな変化になり、患者さんの最初の問題も解決して、治療を卒業されます。いつもこのようにうまくいくわけではないのですが、今の捉え方が変わり、過去が置き換わると、新たな道が開けることがありました。

今回、久々にクリニックに通っていたときの気持ちを思い出し、これだと思い、書くことにしました。数日前、久しぶりに貴クリニックのホームページを拝見し、治療中の出来事が鮮明に蘇りました。治療継続には種々のハードルもありましたが、強い志を持って通院できましたのは、古賀先生のお人柄とクリニックの快適さ、そして結果的に通院が楽しかったからに他なりません。
 私たち現代人は、データや数字、成果や効率で評価されることが多く、自分自身にも評価を下しがちです。精神科では、患者さんが無理なく自分の問題に気づき、自ら解決策に到達できるよう、問題に向き合うタイミングを工夫しながら面接することもあります。問題を直視することが辛すぎると、患者さんが問題を否定したり、無視したりしてしまい、問題の解決に繋がらないからです。クリニックでの時間は、私の抱えていた不妊という問題、それに向き合うネガティブな気持ちからむしろ解放される時間でした。物ごととの距離感の大切さを古賀先生の患者になって、改めて学ばせて頂きました。お陰様で、治療中の前向きな気持ちは小さな選択に影響を与え、積み重なって、母親として生きる今に繋がりました。

最後になりましたが、先生方とスタッフの皆様には大変お世話になりました。心よりお礼申し上げます。