古賀文敏ウイメンズクリニックKOGA FUMITOSHI WOMEN’S CLINIC

一般不妊治療

タイミング療法

スクリーニング検査で異常がなかった場合、排卵の時期に合わせて性行為のタイミングを調整します。超音波検査で卵胞の大きさをはかり、尿中のLHというホルモンや頚管粘液を調べることで正確な排卵日を特定します。

基礎体温
基礎体温計の説明書には、体温陥落日が排卵日として書かれてあるものが多いのですが、なかなか陥落日を特定することは難しいものです。基礎体温だけでは、低温相最終日を排卵日とするのが一番無難かもしれません。精子は女性の体内で24~48時間受精能力を有していますが、卵子は排卵後12~14時間とされていますので、基礎体温上では最終低温日の2日前から、体温上昇日の1日目までが妊娠する可能性があります。ただし頚管粘液は基礎体温が上昇し始めると急激に減少するため、通常の性行為では妊娠の可能性は低くなります。

市販の排卵日予測キット
市販の排卵日予測キットは、尿中のLHというホルモンを調べて排卵日を予測します。排卵までに要する時間は、一般にLHサージの立ち上がりから32時間、LHのピークから16.5時間とされていますので、性行為のタイミングは、LHサージの開始日であれば翌日、LHピーク日であればその当日が望ましいとされています。月経周期が長い方や少し不規則な方は、陽性が出ないまま次の周期が来てしまうということもあります。また排卵誘発剤を使用した場合は、薬剤が影響を与えることもあります。

もっと確実な方法
頚管粘液やお腹の張りを参考にすることもできますが、一番確実なのは、超音波検査による卵胞計測です。ただ卵巣予備能や使用する薬剤によって排卵しやすい卵胞径が違ってきますので、専門の医師に相談したほうがいいと思います。

スクリーニング検査において子宮卵管造影検査は、検査後有意に妊娠率が上昇します。過去に受けた子宮卵管造影検査で激痛を伴ったと言われる方も多数いますが、当院での検査ではほとんど痛みはありません。造影剤を注入する際のカニューレの選択、痛くない注入速度、被爆量が少なく体位変換の必要がない最新のデジタルレントゲンの導入などによって、痛み止めを使うことなく検査を受けることができます。

排卵誘発剤による治療

排卵障害の方や黄体機能不全の方、排卵が問題なく起こっていても妊娠の確率を増やしたい方を対象とします。自然排卵がある場合に複数の排卵を起こし、妊孕性(にんようせい)を高める治療を過排卵刺激と呼びます。

クロミフェン療法(商品名:クロミッド等)療法
効果:軽度の排卵障害がある方や妊娠率を高めるために複数の排卵をおこす方に使います。月経が始まってからクロミフェンを服用すると卵胞を育てるためのホルモンであるFSH(卵胞刺激ホルモン)が促され、卵胞発育が始まります。

副作用:長期に服用すると抗エストロゲン作用が出てきます。具体的には、排卵の時期に精子が上昇するための頚管粘液が少なくなったり、子宮内膜が薄くなったりするため受精卵の着床に適さず、月経血が少なくなる自覚症状がでます。

レトロゾール(商品名フェマーラ)療法
効果:本来は閉経婦人の乳がん治療を適応症とするお薬ですが、排卵誘発剤としての効果が注目されています。クロミフェンに比べて頸管粘液が減少したり、子宮内膜が薄いなどの副作用が少なく、単一卵胞が育つために、使いやすいお薬です。

hMG療法(商品名:HMGフジ、HMGテイゾー、フォリルモンP、フォリスチム等)療法
効果:クロミフェン療法で妊娠しない方や、下垂体からFSHやLHなどのゴナドトロピンの分泌が少ない方に行う治療法です。妊娠率は高いのですが、多胎妊娠やお腹が張って痛い卵巣過剰刺激症候群などの副作用に注意しながら卵胞の発育状況などを慎重に診る必要があるため、通院回数がやや多くなります。 閉経後の女性の尿から抽出した薬剤(HMGフジ、HMGテイゾー、フォリルモンP等)と遺伝子工学を用いて作られたリコンビナントFSH製剤(フォリスチム等)があります。