古賀文敏ウイメンズクリニックKOGA FUMITOSHI WOMEN’S CLINIC

患者様の声

治療内容

治療内容:

治療の終結にあたって

古賀先生へ

この度、不妊治療を卒業することになりました。 先生の穏やかな物腰と語り口には、ずっと心救われてきました。 本当にありがとうございました。
最終目標であった「子どもを授かること」は叶いませんでしたが、 この不妊治療を通して、たくさん得たものがありました。 中でも印象に残っていることを3つほど書こうと思います。

まず1つ目は、古賀先生のところで初めての採卵をした直後、麻酔から覚めた時のことです。 目が覚めると私は号泣していました。 悲しくて、悲しくて、声を出して泣いていました。自分でも驚きました。 古賀先生のところにお世話になる前、私は九州のとある不妊治療でよく知られた病院に 2年半ほど通院していました。 その時に稽留流産をしたのですが、当時の先生のご意向で手術で処置をしていただきました。 実は流産の処置の後、心の中では悲しみでいっぱいなのに全く涙が出ずにいたのですが、 その時の悲しさが何故か、ずいぶん経ったこの時にフラッシュバックしたのでした。 採卵後の様子を見に部屋をノックして入ってきた、若い看護師さんは号泣している私を見て 最初少し困惑しているようでしたが、そのまま部屋に入ってきて膝をついて静かに私のことを 見守ってくれました。 そして、私が話し始めたことを、ただただ真剣に黙って聴いてくれました。 まだ20代半ばほどで看護師としての経験も、人生経験もそう多くはないであろう彼女に、 私は、泣きながら自分が封印してきた、抱えてきたやり場のない、誰に対してなのかも分からない憤りにも似た悲しみを話しました。 彼女は、その時の彼女の慈愛に満ちた眼差しを忘れることができません。 他の患者さんのこともあるでしょうし、時間に終われる忙しい仕事の中で、 全くそんな素振りをみせることなく、ただただ私の話を心から聴いてくれる姿勢に、 本当に救われた思いでした。

2つ目は、古賀先生に移植していただいた時のことです。 2つの胚が丁寧に移植されました。それを画面で見せていただいたのですが、 その時、胚がキラリと光って見えました。 私には、それは真っ暗な宇宙の中で光り輝く星のように見えました。 「自分の中に宇宙がある」と思いました。 その日の夕方、飼っている犬の散歩をしながらふと空を見上げると、 一番星が光って見えました。その瞬間に、私は「あ、あそこにいる!」と確信したような 気持ちになりました。 毎日空を見上げればそこにある星。その中にまだ見ぬ我が子がいると思ったのです。 それから、毎日星を見てはホッとするような嬉しい気持ちで日々を送ることができました。 そして、不思議ですが、「私はもうすでに、全てを持っている」と思えました。 子どもがいても、いなくても、私は必要なものをちゃんと全てこの自分の中に持っているんだ。そして、流産した我が子たちもこれから生まれてくるかもしれない子どもたちも、 実はこれまでも私の中にいたし、これからもいるのだと、 ただ、それに気がついていなかっただけなのだと・・・ とてもおかしなことを言っているようですが、本気でそう思いました。 結局、また稽留流産をしてしまいましたが 先生は「自然に出てくるのを待ちましょう」と静かにおっしゃっり、 その言葉も大変嬉しかったです。 私には、命がないという事実を確認して受け止めることが必要でしたし、 出てくるのを待つ時間もまた、覚悟をする上でとても大事なものでした。 そして数日後に小さな陣痛を経て出てきてくれた、プクプクとした小さなやわらかく白い塊を とても愛おしく感じました。これまた変な言い方ですが、とても幸せでした。 妊娠から流産決定までの経過は前の病院で経たものとほぼ同じでしたが、 味わったものは、それとは似ても似つかぬ、充実した素晴らしい体験でした。

3つ目は、その流産の後に再び採卵に挑戦した時のことです。 麻酔から覚めた私は、下腹に鈍痛を感じました。 「先生が頑張ってくださったんだなあ」と瞬間的に思いました。 そして、心から幸せを感じたのです。 「幸せとは、こういうことをいうんだ。子どもが生まれてくることが目標ではあるけれど、 私の目標を叶えるために、必死に取り組んでくださっている先生や看護師さんたちがいらっしゃ る。これを幸せと言わず、何を幸せというんだ。」そして「もし、成熟した卵が一つも取れていな くても、それでも私は幸せだ」と思えましたし、実際この時そうなったのですが、 残念という思いよりも、幸せを感じられた自分を嬉しく思いました。

長々と書いてしまいましたが、結局のところお伝えしたいのは、 子どもが得られたかどうか以上に 私は古賀先生の病院で頂いた宝物が、とても貴重だったということです。 きっと、授からなかった卒業生の多くもそう感じていらっしゃるのではないかと思います。 今回は、かなり時間を置いて3年半の長い眠りの中にいた胚をお腹に戻しました。 私にとっては、これが本当にラストチャンス。 自分の中で心も体もコンディションの良い時に、自分のタイミングで戻したいと思っての 決断でした。体時間を戻していただいての、チャレンジ期間。 とても楽しい時間でした。そして、自分なりに納得して治療を終えられることは 本当に本当にありがたいことだと感謝しています。

古賀先生にお会いできて、本当に良かったです。 先生の穏やかな笑顔、時々ハッと気づきを頂けるような核心をついた発言・・・ すべてが私にとって得難い、素晴らしいものでした。 まだまだ人生は続きます。自分のために使うことができる多くの時間を何に使うのか・・・ 希望を胸に次のステージに向かおうと思います。 先生も、どうぞお体を大切になさりながら、悩める女性の道案内をお願いいたします。 心からありがとうございました!