古賀文敏ウイメンズクリニックKOGA FUMITOSHI WOMEN’S CLINIC

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院長 古賀文敏 が不定期に書いているコラムです

2020.06.18

ボーンブロスBORBRO今秋発売予定!

Reproductive Medicine and Biologyの今年7月号に「栄養と生殖の関係」という題名で総説(review 論文)を書きました。この分野に大切な文献110編を集めて、エビデンスに基づく栄養とは何かもう一度振り返りました。改めて違う媒体でご紹介したいと思っていますが、少しはしりを、私らしく生きるためのライフブック、ラシゴーニュに書きましたので、2号分転載します。

『ダイエット実験』              ラシゴーニュ令和元年冬号
 アメリカの国立衛生研究所の、およそ5万人7年半にわたるダイエット実験をご存じでしょうか?食事のカロリーを20%削減し、運動量を14%増やしたグループの7年半にわたる追跡調査!実験1年後は、平均体重が1.8kg減です。皆さん喜んだことでしょう。でも2年後は体重が増えはじめ、7年半後はダイエットを何もしていないグループと同じように太っていったのです。「食事量を減らすダイエット」は意味がないのです。
 私たちは、栄養学を学んでライザップと医療連携を組んだ経験から、新しいパーソナルトレーニングジムTaycan bodyを年初から始めました。パーソナルトレーナーが毎日ラインで食事指導をする中で、大事にするのは食事量を減らさないで!ということです。筋肉量が落ち、代謝が低下して、長期的には失敗することがわかっているからです。では糖質制限が良いのか?この点も少しずつ考え直さないといけません。糖質だけでなく、タンパク質でも消化管から分泌されるインクレチンによって、インスリンが促進されることがわかってきました。つまり血糖の上昇がなくてもインスリンを分泌される仕組みがあるのです。24時間血糖モニターのリブレを装着しても、まだ不完全だったのです。
 インスリン抵抗性が慢性炎症を引き起こし、がんや糖尿病はもちろん老化、不妊症までもたらします。万病のもとになる「慢性炎症」をいかに退治するか。何も食べない時間を確保する、腸の炎症を抑える、よく寝る。このあたりを次回に詳しく。

『ファスティングとボーンブロス』        ラシゴーニュ令和2年夏
 新型コロナによる外食も自粛されるなか、私は5日間のファスティングを3回行いました。その間は、ボーンブロスという骨から作ったスープと酵素ドリンクのみで過ごしましたが、思ったより空腹感がなく、頭は冴えてきているような気がしました。体重は1回あたり約3.5kg減っていますし、今まで下がらなかった内臓脂肪が落ち、体脂肪は約10%程度になりました。
 どうしてこんなことを試みたのでしょうか?昨年秋から「栄養と生殖の関係」についての英語の総説(Review)を書き始めたなかで、インスリン抵抗性が慢性炎症をおこしており、卵や胚の質や着床率を低下させている可能性に気づきました。糖質制限においては、糖質を減らす代わりにお肉を沢山摂ることを薦められますが、お肉は血糖の変化はないもののインクレチンというホルモンがでて、インスリン抵抗性は高まります。また私たちが好んで食べるお肉は、本来エサにならない穀物と抗生物質を投与された牛から得られたもので、ヒトには脂肪肝をもたらし、腸内細菌を荒らします。
 ホルモンのバランスを整えるには、精製された糖質を控えた方がいいのですが、食べない時間を作る方がもっと有益なことがわかってきています。私は、ファスティング前後に血液データを集め、自己血糖測定器を装着し、オリゴスキャンを行いました。妊娠を望む方にも有益です。
 現在、福岡のフレンチの巨匠、ムッシュ吉田と一緒に原材料と製法にこだわった美味しいボーンブロスを企画しています。秋には岩田屋で催事・販売予定です。ぜひお立ち寄り下さい。