古賀文敏ウイメンズクリニックKOGA FUMITOSHI WOMEN’S CLINIC

医師のご紹介

40代の初産婦です。長年の不妊治療の末ようやく赤ちゃんを授かりました。先日、妊婦健診で「赤ちゃんの首のむくみが厚いかもしれない。年齢的なこともあるので、心配なら羊水検査ができる。」と言われ、幸せから一気にどん底へ突き落とされた気分です。不安に思っていることをご相談させてください。


質問者

妊婦健診でもらったエコー写真を見ると首のむくみが厚いので心配なのですが、どうするべきでしょうか?

先生

「首がむくんでいる=病気」ではありません。可能性の問題です。いろいろな赤ちゃんに問題があるかどうか、そのリスクが高いかどうかという問題です。

なぜかというと、全長がまだ5センチくらいの小さな胎児の首のむくみを0コンマ何ミリレベルで正確に計測しないとそのリスクが判断できないわけですね。それを計るには専門の機械が必要だし、高度な技術も必要で、それについての国際ライセンスがあるくらいです。そして、計る場所もすごく大切で、胎児が少し下を向いていても上を向いていても厚くなったり薄くなったりするので、計測にはちゃんとした国際基準が決まっていています。胎児が正面を向いている時に正しい位置で断面をとって計らないといけないので、本当にすごく難しいです。妊婦健診の検査エコーでたまたま厚く見えたというだけでは診断をつけることはできません。

心配ならば専門医の診断を受けてください。首のむくみが5ミリであっても、50%の胎児は無事に生まれてくると言われています。

質問者

「胎児に染色体異常があるかどうかは、結局のところ羊水検査をしないとわからない」と妊婦健診で言われたのですが、羊水検査ができる時期まで待つしかないのでしょう?

先生

染色体異常の確定診断には妊娠初期の絨毛検査あるいは妊娠中期の羊水検査が必要です。絨毛検査や羊水検査というのは、流産などのリスクを伴うので心配だからといって簡単に受ける検査ではありません。そこで、本当に染色体異常の心配をしないといけないかどうかをしっかり判定するのが初期の胎児ドックです。

これまでは染色体異常が心配で染色体検査をするなら17週位になって羊水検査をするというのが主流でしたが、今は妊娠11週から13週に初期胎児ドック(エコー検査と血液検査)で本当に染色体異常のリスクが高いかどうかを判定して、リスクが高いと診断された場合は、絨毛検査をして確定診断を行うのが海外では主流です。絨毛検査は妊娠13週で確定診断が可能です。またエキスパートが行えば、羊水検査の安全性とほぼ同等です。

絨毛検査や羊水検査というのは、少なからず流産などのリスクを伴うものだし、肉体的にも精神的にも経済的にも負担は軽くありません。できるだけそのようなリスクや負担を負わない方法で高い精度の検査結果が得られるというところに胎児ドッグのメリットはあります。

質問者

40代の妊婦なので年齢的なリスクが若い人に比べて高いと言われたのですが、年齢的なリスクとはどのようなものでしょうか?40代になると年齢的なリスクは急にあがるのでしょうか?

先生

年齢的なリスクは年齢を重ねるごとに少しずつあがるので、ある年齢になると急に上がるものではありません。

例えば40歳の妊婦さんはダウン症のリスクが1〜2%あると言われますが、あなたの赤ちゃんにそのリスクがあてはまるかどうかはわかりません。ダウン症のリスクを考えるにあたって妊娠の年齢も一つの目安に過ぎません。若くても染色体異常のあるお子さんを出産される方はいます。

質問者

43歳で初産なので、両親からも羊水検査をしたらどうかと言われました。正直なところ私自身は、赤ちゃんの染色体異常も心配ですが、それよりも流産のリスクのほうが心配です。

先生

「40歳以上の妊娠だから染色体異常のリスクが高い、それが心配なら羊水検査をする」というのは少し乱暴だと思います。初期ドッグを受ければ、高い精度で染色体異常の可能性がわかるので、必要のない妊婦さんに行われる絨毛検査や羊水検査は圧倒的に減ります。

検査時期が間に合うようでしたら、羊水検査よりも、まずは初期胎児ドッグを受けることをおすすめします。