古賀文敏ウイメンズクリニックKOGA FUMITOSHI WOMEN’S CLINIC

医師のご紹介

タイミング法、人工授精、体外受精とステップアップしてきましたが、なかなか妊娠に至りません。特に体外受精にステップアップしてからは、採卵できる卵の数も少なく質もあまりよくないので、少しでも質のいい卵がとれるようにとの思いで自分なりに努力をしていますが、ふと「このような努力に意味はあるのか」と疑問に思ったり少しストレスに感じたりすることもあります。あまり妊活に効果がないようでしたら、やめようかなとも思います。古賀先生のご意見をお聞かせいただけますか。


質問者

デスクワークでなかなか体を動かさないのですが妊活には適度な運動が必要だと思い、自転車を使うのをやめて駅まで歩くようにしています。駅までの往復で一日に一時間程度歩きますが、真夏や真冬は少しつらいです。適度な運動は妊活に必要でしょうか?もしそうなら、どの程度の運動が必要なのでしょうか?

先生

ゆっくり呼吸しながら運動するのは、ミトコンドリアの活性を高める上で有効との報告があります。ただ私たちは、急に体重が増えたり、健康に不安があったりすると、急に運動を始めなければならないように駆り立てられる風潮にあります。今までダイエットのためにスポーツジムに通って、思い通りに痩せられた方がどれぐらいおられるのでしょうか?ちなみに私は、久留米大学勤務中に鳥栖のCASAというスポーツジムに通っていましたが、バイクや筋トレ以外にプールや温泉もあり、非常に心地よい汗をかいていましたが、結果ビールがおいしく全く痩せませんでした。ライザップが話題になっていますが、あれも要は食事コントロールだと思います。
実は、運動によって卵巣機能が改善していると思えた方は思い浮かびません。最近は、ヨガブームですが、スタイルが良い方で、コレステロールが低い方に抗ミュラー管ホルモンが低い印象があります。もしかして“ちょっとぽっちゃり”ぐらいが卵巣にとってはいいのかもしれませんね。

質問者

身体の冷えが不妊につながると思い、夏でも靴下を履いて、寝る時は腹巻きをしています。夏も冬も手足が冷たく、冷え性だと自分では思うのですが、靴下を履いたからといって足が温かくなることはありません。冷え性の改善のためにと思って続けていますが、靴下や腹巻きは冷え性の改善に役立ちますか?ほかに冷えの改善に効果的なことはありますか?

先生

いまは冷え改善ブームですよね。内診するとお腹が思いのほか熱いぐらいの方もおられます。もちろんカイロをされているのですが・・・
小学生のお子さんに風邪引かないように服を何枚も着せる、カイロを持たせる、寒空の下では遊ばせないように気をつける、これが子供の健康につながるでしょうか?
まず代謝を上げるために鉄分を十分とること、基礎体温が低い方のフェリチンはおおむね低いです。そして腸内細菌叢を大事にすること。ここで栄養が吸収されるかどうか決まりますので、ゆったりした生活を心がけて、副交感神経系の腸管を動かすことに気をつけてみて下さい。そのための一番の指標がお通じが毎日あることです。
私のコラム「奇跡のリンゴ」の引用文のように、害虫に強い、農薬のいらないリンゴはしっかりした根を持っていて、その土はバクテリアが豊富で、触るとあったかいのです。

質問者

卵の質がよくないのは食べ物のせいかもしれないと思い、冷凍食品やレトルト食品はさけて大好きな甘いものも外食も控えて毎日頑張って自炊していますが、仕事と食事の支度に追われる日々でストレスに感じています。できるだけ食生活には気をつけたいと思いますが、必要な栄養素をサプリメントで補いながら少し外食を増やしたり甘いものを食べたりもしたいです。やはりサプリメントよりも野菜や果物からビタミンやミネラルを取った方がいいのでしょうか?最近は白砂糖が体によくないと見聞きするので、甘いものは避けるべきでしょうか?少しは食べてもいいのなら、どの程度の量なら問題ないですか?そもそも食べ物と卵の質は関係ありますか?

先生

中国では医食同源という言葉ありますし、西洋医学でも栄養療法は非常に注目されています。現代の食事は昔に比べると、かなり炭水化物(糖質)に偏っていることがわかっています。糖質制限によって、色々な病気の発症が抑えられることがわかってきています。糖質を制限し、蛋白質の比重を増やすと、卵の質も改善したという発表もあります。もちろんコレステロールが低いと、卵巣機能が落ちるという報告もあります。
甘いものは脳にとっては中毒なので、習慣化しやすいのです。でも時には自分のご褒美として?甘いものを摂る時は、お肉などの蛋白質やサラダを食べた後のデザートとして摂って下さい。そしてできれば食べた後は軽く歩いたりする運動が効果的です。これで高血糖が防げます。

質問者

妊娠に良いと聞けば色んなサプリメントを取り入れるのですが、毎月の出費もかさみます。そもそも妊娠に良いサプリメントはありますか?人によって必要なサプリメントは違うのでしょうか?私が飲んでいるサプリメントは、質のいい卵が出来るといわれるもので、ビタミンE、コエンザイムQ10、亜鉛、葉酸、DHEAです。

先生

何が費用対効果があるか難しい問題ですね。そもそも卵は生まれた時から貯蔵されているものなので、短期間サプリを服用しても効果はゆっくりです。ジネコの雑誌の取材を受けた時、私の4つの推奨サプリは、プロテイン(アミノ酸)、ヘム鉄、ビタミンD,ファイバーと書きました。私はみなさんにお勧めする時は、自分も事前に服用しています。鉄は十分足りているので、ヘム鉄だけはスタッフに飲んでもらっています。効果抜群です。でもたしかにひとによってどのサプリが大切か違いますので、私たちは分子生物学的栄養療法を取り入れ、採血することで一人ひとりにあったサプリをご提案しています。当クリニックに通院されている方は、お気軽にスタッフまでご相談ください。

質問者

お酒が大好きなので、毎日の晩酌が楽しみなのですが、飲み過ぎはよくないとわかっています。でも、妊娠できるまでは飲みたいと思うのですが、毎晩缶ビールを4本程度飲むのは妊娠に影響しますか?体外受精をした後も判定日までは、毎晩ビールを1本飲んでいましたが、胚移植をしたら禁酒すべきですか?今後、妊娠できたとして、ビール1本程度のお酒は胎児に影響しますか?妊娠すると禁酒するのが当然だという風潮ですが、本当にビールが大好きなので、ちゃんと禁酒できるか不安です。

先生

一昨年イギリスの発表で、妊娠中ビール1本ずっと飲んでいても、妊娠経過、出産まで悪影響しなかったというデータがありました。極端な例かもしれませんが、あまり神経質にならなくていいと思います。ご主人とゆっくり食事を楽しみながら晩酌されている状況は、仲陸まじく、妊娠が近い感じがしますよね。一人で飲まれていれば別ですが・・・。ただその時は、糖質オフのビールがいいと思います。意外とおいしいです。