古賀文敏ウイメンズクリニックKOGA FUMITOSHI WOMEN’S CLINIC

医師のご紹介

結婚して特に不妊治療はせず、すぐ妊娠に至りましたが、残念ながら7週頃に稽留流産になりました。そのあと1年後に同じように流産となってしまいました。最近、2回以上の連続した流産を不育症と定義すると聞きました。自分が何か特別の病気になっていないか心配です。2度の流産の原因は私にあるのでしょうか?また妊娠してからの生活は、どうした点に気をつけたらよいのでしょうか?

2015.08.07


質問者

思い返すと2回とも妊娠中、仕事がハードでした。特に2回目は、上司からひどく叱られたあとでした。気分転換に沖縄に出かける直前に妊娠がわかったのですが、夫と相談の上、旅行にでかけてしまいました。その後稽留流産と診断されたことを親に話すと、ひどく責められました。思い出すと今でも自己嫌悪です。

先生

まず流産は、7〜8割ぐらいが胎児染色体異常でおこるとされています。そして女性の年齢があがると、その比率は増えていきます。胎児染色体異常の場合は、排卵した時、受精した時、その後の分割の時と色々ありますが、多くは排卵した時にすでに染色体異常となっています。そのため、着床した時にはすでにその胚の運命は決まっており、妊娠中の生活が良くなくて流産をおこすことはほとんどありません。 旅行やストレスは、ほとんど影響がなかったと考えられます。

質問者

2回目の流産の時にも胎児染色体検査は勧められませんでした。検査を行った方が良かったのでしょうか?

先生

確かに流産した際に胎児染色体検査は自費ですし、なくなった赤ちゃんが戻ってくるわけではありません。ただ不育症の原因は半分以上がよくわかっていません。次の流産を避けたいあまり、原因がはっきりしていないのに(抗リン脂質抗体陽性が一度しかなかったり、抗核抗体が陽性であったりする場合も含みます)妊娠中ずっとヘパリンを注射したり、低用量アスピリンを内服したりすることがないとは限りません。胎児染色体検査は、流産の原因が胎児にあったのかを知ることで母体に不育症を疑う必要があるかの判断に役立ちます。今後の治療対策を立てるためにも、積極的に行ってほしいと思います。

質問者

流産の原因の多くが胎児の染色体異常ということですが、それは私たち夫婦に原因があるということでしょうか?夫婦の染色体検査も行う必要がありますか?

先生

続けて3回以上流産が続いた場合、6%にご夫婦の染色体の問題で流産しやすくなることがわかっています。相互転座やロバートソン転座などです。ただしきちんとご夫婦で納得しないと誤解を生じやすく、その後の夫婦関係にまで影響を及ぼすデリケートな検査です。流産した時に絨毛染色体検査を行って、ご夫婦のどちらかから転座を引き継いだ可能性が高い場合、もしくは3回以上流産が続いた場合は、ご夫婦によくお話します。そして理解が得られた時に染色体検査を行うことはもちろんあります。

質問者

今後のことを考えると、私は不育症の検査を受けた方がいいでしょうか?また不妊治療の必要性についてもご意見ください。

先生

次に流産をおこさないためにも、一通り不育症のスクリーニングを受けられることをお薦めします。ご年齢が40歳を過ぎていらっしゃいますので、不妊治療も含めて早期に開始された方がいいと思います。